来客

以前こちらの施設に標本を寄贈してくださった方のご遺族がコレクションを見学に来られた.息子さんの標本などもあり,奥様や親類の方々は懐かしそうに標本をみていたのが印象的だった.標本箱はそのままの状態で保管していたので,当時の状態のままだったのも良かったようだ.コレクションには本人だけでなく,ご家族の思い出も詰まっているのだと思った.
館によって違うと思うが,寄贈コレクションをそのまま保管する場合と,ばらしてジェネラルコレクションと統合する場合がある.第三者が標本を探す場合には統合してあるほうが利用しやすい.一方で個人コレクションは研究者の歴史そのものであることから,標本に何らかの検証が必要になった場合,そのままの状態の方が個々の標本だけよりも,ほかの情報が得られることもあるだろう.
しかしながら中身の見えない桐箱や大きさの違う標本箱の標本をそのまま収蔵することは管理や利用の点からみて大変難しい.大量の標本からなる個人コレクションをいずれ博物館に寄贈したいと考えているのなら,大型ドイツ箱で標本を管理し,そのまま博物館で保管してもらえる状態にしておくことが理想かもしれない.もちろん標本が整理されていることが大前提だが.