和名「せあかひめどろむし」の事

Kamite (2015)により,北関東〜中国地方に分布する4紋型の種は新種O. yoshitomiiとなった.これらは多くの報告でセアカヒメドロムシO. maculatus Nomuraとして報告されてきた種である.そして,真のO. maculatus Nomuraは西日本(少なくとも近畿や中国地方)には分布しないことも明らかになった.同時にO. maculatusのパラタイプ(長野県売木峠産)は,実はO. yoshitomiiだったことも報告された.つまり,O. maculatusが記載された時点で混同されていたのである.
今後,O. maculatus Nomuraの和名としてセアカヒメドロムシを使うことは,過去の記録を参照する上では相当混乱の原因になるだろう(事情を知っている人なら,産地で区別できるかもしれない).これまでの記録が単なる誤同定だったのなら,ある意味仕方ないのかもしれないが,実際はそうではない.
対応としては,「セアカヒメドロムシ」の和名を使うのをやめるか,O. yoshitomiiの和名として残すのかのどちらかだと思う.