標本の同定確認をしたのでメモ。
ダルマガムシ属Hydraenaの幼虫は左右尾突起の根本が近接しないことで、セスジダルマガムシ属と区別できる。それはそれで良いのだが、そもそもダルマガムシ科までの同定が確かでなければ意味がない。ハネカクシ上科に属するダルマガムシ科の幼虫は他の同じ上科の幼虫にそっくりである。
見やすくはないが、見分ける形質として重要なのが、尾端にある小さな一対のフックである。これは水生であることと関係している形質と思われる。ミズスマシ科にも同じようなフックがある。尾端からフックを出して、歩く時の補助としていると考えられる。
このフックは腹部内に収まっていて、出たり入ったりする。そのため、標本では出ていることもあるが、ひっこんでいることもある。観察には光学顕微鏡で見るのが確実。
どう見てもフックが見えない場合、ダルマガムシ科ではない可能性が高い。
この論文を見ると、ハネカクシとダルマガムシの幼虫がぱっと見で区別できないことがよくわかる。