外来珪藻

論文が出ました。初めての珪藻論文。

Hayashi, M. (2023) Invasive diatom, Cymbella janischii adhering on body surface of native aquatic beetles, Grouvellinus nitidus (Elmidae) and Ectopria opaca (Psephenidae) in Japan. Entomological Science (2023) 26, e12556

正月に利根川水系で採集したツヤナガアシドロムシに何か付着していて、最初、ラブルベニアかと思ったけど、よくみたらクチビルケイソウだった。SEMで撮影してこれが外来種のミズワタクチビルケイソウだと判明した。

翌年の正月に再度調べたら、今度はチビヒゲナガハナノミの幼虫にたくさん生えていた。

更に翌年はコロナで調査がストップした。

現在の居住地周辺ではミズワタクチビルケイソウは侵入しておらず、追跡調査はできなかった。そこで、ベントスの同定業務をしている知人に聞いてみたが、この珪藻が水生甲虫に付着している例は見たことないとのことだった。そのうち誰か報告するかと思って放置していたが、やはりこれは論文化した方が良いと考え、たった2例の観察だったが、短報として投稿して受理となった。

この外来珪藻による在来ベントスへの影響は相当大きなものと思うが、具体的な報告はあまりないようだ。今後に期待している。それにしても拡大を阻止する方法はないだろうか。かなり厄介な藻である。